岩出山からすっかり雪が消えた2017年3月5日。
ポカポカしたお出かけ日和で快速リゾートみのりの旅を楽しんできました。
陽炎立つ中を走ってきたみのり!
午前10時半近い陸羽東線・岩出山駅で古川方面を眺めてリゾートみのり号の到着を待ちます。すると驚いたことに長く続く直線の線路上には陽炎がゆらゆら。
それなりにスピードは出ているのだろうけれど、ゆったりとした印象で近づいてきました。本当に温かな日で、春が近づいてきたんだなぁとあらためて感じながらの小さな旅となります。
今回の目的地は・・・。う~ん、目的地と言っていいのだろうか。特に目的はないのだが、行き先は終点の新庄です。
岩出山駅を出発!
私たちの日本海ファクトリー事務所の最寄り駅は西大崎駅ですが、リゾートみのりは停まりません。一方の岩出山駅は約2km離れているものの、駅舎(と農産物直売所)に向かって左の方に無料駐車場があるのでとても便利です。
というわけで、岩出山駅が今回のスタート地点です。
乗車券は「小さな旅ホリデーパス」を使用しました。実際には岩出山~新庄の往復だけなら30円高くなってしまうのですが、途中で行程について気が変わってもフレキシブルに対応できるようにと思いましてこの選択となりました。
チケットは前日に古川駅で購入しましたが、前日ということで、カップル席の購入はできませんでした。
車掌さんの親切な対応
写真の切符を見ていただくと、座席が変更になっています。これは通路を挟んで並ぶ席だった私たち夫婦の席を並び席に変更してくださった証しです。
車掌さんの方から、「二つ並びの座席をご用意できますが、そちらに移られるのはいかがですか?」とお声をかけてくださり、大変ありがたく感じました。そのようなわけで、3号車から1号車に変更となりました。ちなみに、この日は2両での運転でしたので2号車はありません。
ご近所エリアも新鮮に感じる鉄道の旅
普段、自動車などで走り回っているはずの岩出山界隈でも、道路のないところの景色はあまり知らないのが実情です。なにしろ、この場所を列車で通った回数はこの7年間でまだ7回目くらい。前回は2年前のこととなります。実はその時もリゾートみのりでした(笑)。
この列車の素晴らしい特徴の一つは前面展望を楽しめるフリースペースがあること。
すわり心地があまり良すぎない(占拠する人防止のためかな)この椅子に座って高運転台に近い視点で前方を眺めることができます。写真は江合川を渡る橋の上の眺望です。
「う~ん、新鮮な景色だ!」
[ad#ad-1]ここから鳴子温泉!という巨大こけし!
上野目駅から長い直線を軽やかに進んで行き、池月駅を過ぎると景色は一転。川渡温泉駅にかけて、ここまで田園風景が広がっていたのが、どんどん山々が迫ってくる印象になります。
左側には少しの田んぼやソバ畑跡、そして江合川を見下ろすものの、右側は起伏の多い地形となり、鳴子温泉地区の小黒が崎というエリアになるのですがその目印がこちら、ちょっと有名な巨大こけしです。一度でも陸羽東線に乗ってこれを見たことがある人はこれを鳴子エリアに入った目印として覚えている人が多いようです。
ただ、普段自動車でこの辺りを動いている私たちにとっては、道路の方が巨大こけしの目の前なので、「列車から見るとちょっとインパクト弱いね」なんて思ったりするんですが・・・。馴れというものはおそろしい。
撮影名所を車内から見る
普段、車で走っていると、SLやイベント列車が来るという時に大勢のカメラマンが陣取り合戦している場所があります。そして、毎回大勢の人がいる場所は「ここが撮影名所なんだねぇ」と言ったりしているわけですが、今度は「撮られまくっている人の気持ち」になる(いや、被写体は人ではないんだろうけど…)、そんなスポットの一つに差し掛かりました。
ここは江合川に架かる鉄橋で、橋を渡ったところ(と言いますか橋の途中)に鳴子御殿湯駅があるんです。上り列車の場合には駅を出てスピードがまだ上がり切っていないので撮影しやすいですし、SLだったらモクモクの状態が起こりやすいと聞いたことがあります。そして川の上を渡る風に軽く流されている煙がまたよさそうですね~。って、乗っているのはSLじゃぁありませんが・・・。
この時期には川にやってきている白鳥やガンの群れが見えたりして、それも見どころの一つですね。
ついに到着した鳴子温泉駅
鳴子御殿湯駅を出ると、すっかり温泉街の雰囲気になります。厳密には、鳴子御殿湯駅が以前東鳴子駅という駅名だった通り、この辺りは東鳴子温泉のエリア。そして一旦国道47号線と江合川を見下ろす所を通って再び温泉街が広がります。今度こそ正真正銘の鳴子温泉。
車内放送で鳴子温泉の説明が始まったらゆったりと進んで温泉街の湯けむりがますます感じられ、いくつもの温泉旅館やホテルが見えてきます。最近では大江戸温泉物語の系列店になったところが複数あり、また新たな意味で活気を帯びてきています。
さらにスピードを落とし、午前11時ジャスト、鳴子温泉駅に到着です。鳴子温泉観光協会の皆さんが「なるこちゃん」と一緒にお迎えしてくださいます。
今までは一緒に手を振ることはあっても迎えてもらったことがなかったのですごく新鮮な思いでした。顔見知りのおじいちゃんが「あれ、今日は乗ってるんかね!」とニコニコしながら迎えてくれました。
お目目キラキラの可愛いなるこちゃんと一緒に記念撮影し、改札を出てちょっとあるところへ。その場所とは・・・。
この23分間の休憩を利用して、ある人は駅前のぽっぽの足湯に向かいますが、私は徒歩1分のところにある「肉のしばさき」さんへ。実は朝のうちに「11時過ぎにリゾートみのりでなるこに行きますのでメンチカツを挙げておいてください」と予約を入れておきまして、あつあつのおいし~いのを取りに行くところというわけです。
プチ円形劇場な鳴子温泉駅
あつあつのメンチカツを手に、戻ってきたその場所はまるで円形劇場。古代ローマのコロシアムというと言いすぎですが、なかなか個性的な作りの待合室です。
扇形のかなめの部分にブルーヒーターがあって、いつもほんのり温かいのもうれしいところです。私たちはこのヒーターの真ん前に陣取って(あ、他に人がいなかったからですよ)ハフハフ言いながらメンチカツをたいらげました。
23分という時間は意外とあっという間です。徒歩3分のところにある手湯に行くことも考えたのですが、そこまでの余裕はなくなってしまったので早めにリゾートみのり号の車内に戻りました。
[ad#ad-2]リゾートみのり号の後半戦
11:23。
列車は再び西に向かって走り出します。ここから中山平温泉までの間は急勾配とトンネルの区間ですが、途中にはあの紅葉で有名な鳴子峡があります。鳴子峡とその上に架かる大深沢橋を見上げるポイントでスピードを落としてくれるということをよく聞いていたのでちょっと楽しみにしながら進んで行きます。
その間に何やら放送が流れているのですが、トンネルの騒音でほとんどかき消されていきます。
そしてトンネルを抜けたところに大深沢橋が見えた!鳴子峡だ!
あ、トンネルに入っちゃった!・・・・・・。
・・・。
なんと、あっという間に通過してしまいました。
よくはわかりませんが、観光シーズンにはスロー運転するといった放送が流れていたのかもしれません。残念ながらこの列車は突っ走っていきました(笑)。そうして中山平温泉駅に到着です。
SLが見える3月の中山平温泉
鳴子界隈において、「今年の雪の量」を目で見て話題にするときによく目安にするものがいくつかあります。一つは鳴子温泉駅前の「手湯」前広場に作られる「大雪だるま」。この大きさを見て「よく降ったねぇ」と言ったりします。が・・・。
ここは中山平温泉。雪の量を測るのはやはり駅前のSL(C58)がどのくらい雪で埋まっているか!。御覧の通り、動輪もほとんど丸ごと見えているなんて、3月としてはかなり少ないですね。ちなみに、昨年もかなり少なかったのでこんな感じでしたが、例年でしたら半分埋もれているんですけどね~。
分水嶺を超えて
中山平温泉駅を出るともう一坂超えたところで県境越えとなります。リゾートみのり号の車内放送でも「分水嶺」についての解説が流れます。
山形県に入るとすぐに分水嶺の駅・堺田駅を通過します。
気が付くとあたりは完全に雪景色。山形と宮城ってこんなに違うんだなぁ。と再認識です。赤倉温泉、最上へと進む鉄路も白い雪に覆われています。
写真は先頭車両ではなく最後尾で宮城県方向を振り返ったところです。リゾートみのり号の先頭部のフリースペースは入れ代わり立ち代わりで誰かが居る感じですが、最後尾はそれほどでもありません。走り去る景色を見ながら進むのもなかなか乙なものですよ。
最上~リゾートみのり号最終章
陸羽東線・西部区間(鳴子温泉~新庄)においてこの最上駅は、その名の通り最重要な駅です。この区間唯一の列車交換可能駅でもあります。
というわけで、このリゾートみのり号の到着時にも上りの鳴子温泉行きがやってきました。雪が多くはないので定刻通りの列車交換です。みのりは3分の停車を終えて出発ですが、ここからはもう新庄を目指すのみ。途中停車駅は瀬見温泉駅だけです。
いくらか山が遠のき、雪毛布をかぶった田園風景の中を進んでいきます。ログハウス調の大堀駅を過ぎると再び両側に山が迫り、やがて小国川が見えてくるという、ころころと変わる景色が面白い区間です。
瀬見温泉駅が近づくころ、小国川沿いには「川の駅・ヤナ茶屋もがみ」というところが眼下に見えます。和風の建物にすっぽりと収まる形のローソンも珍しくて目を引きます。
瀬見温泉駅に停まった後、最後の峠越えで東長沢~長沢へと駆け上がります。そうして下り始めてしばらくすると左の方から線路と架線が見えてきます。山形線(奥羽本線)と山形新幹線の併用区間です。もちろん架線があるのはそちらだけで、リゾートみのり号の走る線路上には視界を妨げるものはありません(笑)。
[ad#ad-2]2時間の旅はあっという間
窓から新庄方向を眺めていると、だんだん駅らしきものが見えてきました。まぎれもなく新庄駅。同行したパートナーは「え?もうついたん?」とひとこと。
やはり、下りのリゾートみのり号は鳴子温泉駅で23分の休憩タイムがあって、プチ観光を楽しめるので前後の乗車時間も短く感じるのかもしれませんね。
座席の乗り心地もとても良く、リクライニングはもちろん、座面スライドやミニテーブルもあって、一昔前の特急レベルと遜色ない設備です。陳腐さを感じさせず、まだまだ活躍できる車両だとは思いますが、だんだんとキハ40系の車両が他の車両に置き換えられていっている現状ですからいつまでこの姿を見続けられるかは何とも言えず、微妙です。
ですから今回こうしてバリバリの主役として活躍している姿を見られたことはうれしい経験でした。
最後のサプライズはとれいゆつばさ!
新庄駅に到着して目の前に、もう一つの「乗って楽しい列車」が停まっていてリゾートみのり号との共演が見られました。それは新幹線のリゾート列車第一弾として登場したとれいゆつばさ号です。話題になった「足湯列車」ですね。
なかなか品のあるインテリアデザインですよね。いつか乗ってみたいなぁと思いつつ、「JR東日本、PRがうまいなぁ」なんてことも思ったりしました。
おまけ:新庄駅のダジャレセンス
受験シーズンのこの時しか見られない横断幕だと思いますが、新庄駅にゆかりある列車たちの愛称を上手に盛り込んだ、受験生応援メッセージが掲げられていました。
いかがですか。受験生の皆さん。力が沸いてきましたか?