軌道と鉄道が融合した路線・福井鉄道
2014年5月のこと、日本海ファクトリー制作部のメンバーが資料集めを兼ねた研修旅行に行き、そのルートの一つとして福井鉄道に行ってきました。
まず、福井鉄道について簡単にご説明しますと、越前市のJR武生駅近くの「越前武生駅」と福井市内の「田原町駅」を結ぶ路線で、途中に通称ヒゲ線と呼ばれる分岐線があって「福井駅前」にもつながっています。
南側の大半、鯖江市や越前市方向が鉄道線で、北の約3㎞が路面電車区間。
とってもバラエティーに富んだ、楽しい路線なんですよ。
現在ではFUKURAMという新型の低床型車両が導入されてより一層バラエティーに富んだ車両たちが楽しめるようになりました。うち1両はちょっとかわいい「KI-BO(キーボー)」という車両で、続けて読むと「キーボーフクラム」=希望膨らむ となるので、ポスターなどでもそのフレーズがみられるようになりました。
神明駅を訪れたのは少し前のことです
そんな福井鉄道の魅力に触れ、特にその中の主要駅のひとつ、鯖江市にある「神明駅」に立ち寄ってみました。
瓦屋根とモルタル造りの古風な駅舎の感じがとってもいいですね~。
結構高い頻度で運転している福井鉄道ですが、とりわけ朝の通勤通学時間帯は次から次へと乗客が出入りするためかなりにぎわっている印象の神明駅です。
入り口左にはセブンティーンアイスの特徴的な自販機があり、若者たちが多く利用する駅だということを物語っているかのようです。
駅前ロータリーも広めにとってありますので、バスのほか送り迎えの自家用車の出入りも比較的スムーズです。
その一方で、よくありがちな中央の花壇といったものはありませんでした。シンプルな作りですね。
神明駅の改札をぬけて中にも入ってみました。
線路上を歩いて横切り、その先を左方向に2段上ると島式1面2線のホームが伸びています。
昔ながらの木造屋根がまた味わい深くてとってもいいですね~。
「Y」字型の支柱がずらり並ぶ姿も昔ながらの雰囲気を色濃く残しています(わーい、わーい、Y・・Y・・・・)
ホームから後ろを振り返ってみると・・・
当然のことですが、線路上を歩く人の安全のため、駅構内にも踏切があります。
でもふと疑問に感じるものが目に入ります。 あ、あれ?駅舎側にもホームがある?これ、やっぱりホームだよね?
う~ん、やっぱりホームっぽい。
そう思って、駅員さんにお尋ねしました。
「こちらはもしかして、元々はホームとして使われたりしていましたか?」
「実はそうなんです。福井方面行はこのホーム、武生方面行がそちらの島式ホームでした。
でも、車両の低床化が進んだ際にこちらのホームの高さを下げる工事をせず、現在使用しているホームの方だけ低床対応して島式ホームに変更したんです」
なるほど!納得です。
低床型車両との共存車両!
実際に比較してみるともっとよくわかります。
この写真は島式ホームに武生方面から到着した一般タイプの車両です。
秋田新幹線を思い出させるようなステップが飛出し、スムーズに乗り込んでおられますね。低床型対応したホームは当然ながら低いですから、そのホームにスムーズに降りることができるように工夫されているという訳ですね。
この車両、もともとは名古屋鉄道の軌道線を走っていた車両が転入してきたものですが、このへんはしっかりと対策を施されていますね。
同じ車両が旧ホーム横を通るとよくわかる
そして、同じ車両が到着する直前、駅舎に接した旧ホーム部分を通り抜けている写真。
明らかに、このホームを大きく削り落とすなんて無理ですよね。
ホームが2段になっていますが、上の段をすべて削り落とすほどの大工事が必要です。
これでは建て直した方が早いほどですから今では使われなくなったとしても当然のことでしょう。新型車両の導入にはこんな苦労もあったのですね~。
ちなみに、5月末のこの時期はとってもいい季節でつつじの花が神明駅を綺麗に彩っていました。
というわけで福井鉄道・神明駅のレポートでした。